文京区議会と国政

 区議会選挙が終わった。投票率は50%を若干上回ったものの、過去の投票率と比較してもほぼ横ばいで、区内有権者の半分は選挙に無関心である。
 そんな消極的な選挙であったため、組織票を取り入れた保守的な戦略の議員が概ね当選し、大規模な組織変革も行われず、文京区の行政は「現状維持」にて継続することとなった。
 24年ぶりに投票率が50%を下回った前回の参院選もしかり、国民の半分は選挙に意味を求めず、その結果、市民の目の届かないところで政権を支える組織にとって都合のいい施策ばかりが決められ実行されていく。
 そんな中、11月10日に発行された区議会だよりを目にして気になる文章があった。
「日本人の原点に立ち返り、親や先祖を愛し、歴史と伝統と文化を後世に継承し、文の京を目指す成澤区長の栄誉と功績を称え、愛と勇気の結果を誇る永久の会は・・・」(一部抜粋)まるで某国のTVにて女性アナウンサーが興奮気味に将軍様を讃える文章にも似た文章だが、これは単なる「決算に対する各会派の意見」である。他の会派が区が抱える課題などに言及するなか、区政に関しては何一つ語られていない。
 この文章を読んで、ふと心にひっかかるものがあった。永久の会所属、西村議員事務所近くにある某宗教団体の存在である。
宗教団体「生長の家」

 現在、国政を取り仕切る与党官僚の多くが所属する「日本会議」なる団体があり、「生長の家」はその団体のルーツとなったようで両団体は密接な関係にあるようである。

日本会議と「生長の家」

日本会議の正体は?生長の家や安倍政権との関わりを徹底解説

 その理念を読むと前述の意見表明で語られた世界観と共通するものがあり、会派の方針に何かしらの影響を与えていると思われる。

 前述の永久の会所属議員が崇める現区長は就任前、弱者に寄り添う活動を熱心に行う市民派として知られていたが、今は人が変わったように経済成長を第一理念とし、時には弱者切捨て的な発言をする為政者となってしまったようである。

 まるで国民を国家の歯車と捉え、国民総活躍を政策に掲げ、太平洋戦争前の強かった日本を取り戻すことを政党理念としている現与党が取り仕切る国政と似てきたのではないだろうか。
 日本の統治システムは完全たるトップダウン型で、自治体としての独立性は一切許されずに国の方針には逆らえず、自治体の権力者となった者には都や国から様々な圧力がかかり、日本の政治を裏で操る組織の思想に染められていく仕組みなのであろうか?

 

このシステムを変えるには市民、一人一人が危機意識を持ち、立ち上がるしかない。