計画の問題点

周辺への影響を無視し、収益性に固執した設計

1・主要な出入り口が北側(住宅地側)に向けられている

 この計画は商業地域と住居地域をまたいだ建設地の商業地区側のみに建築物を建てる予定である。そして北側住宅地側に正面玄関、駐車場、自転車の出入り口を設けるため、マンション建設後、本来商業地区に許される規模の入と車の流れが住宅地側に発生することになる。

 現状の法規制で用途地域をまたぐ敷地において主要な出入り口の位置は定められておらず、区のワンルームマンションに関する条例には「建築主等は、ワンルームマンション等の建築及び管理に当たり、周辺環境への影響に配慮し、円滑な近隣関係の保持に努めるとともに、良好な生活環境の維持に努めなければならない。」 とあるが・・・

 さらに区の景観計画には「幹線道路等に対して建築物の顔を向ける」とあるが、正面玄関は春日通りとは反対側である。いくらデザインに工夫をしても限界があるのでは・・・?

2・この計画は景観を破壊します

 予定地である東富坂北側は大部分を学校法人尚美学園が所有し、一番大規模な建物でも建設中の新一号館の7階建てある。2階建ての民家と4階建てのビルに挟まれた敷地に14階建ては高すぎないか?いくら高度地区として認められていたとしても、あんな狭い敷地に目一杯に建てなくても・・・細長く不安定な建物が与える圧迫感たるや相当のものと予想される。

 景観計画にも「街並みの連続性の配慮」と坂道の勾配を感じさせる工夫とあり、同じ並びの建物には隣の建物とスカイラインをそろえるなどの配慮が見られますが、はたしてこのマンションは?

3・日照ゼロ、風害の恐れ、不調和な建築物がもたらす圧迫感

 日照について、すでに周辺には高層マンションが2つもあり、建築後は冬場の日照がほとんどあたらない地区が発生してしまう。しかし、現状の法では日照権の複合要因は考慮されず日影規制は単独の建物の影響しか適用されない。

 さらに、今回の建物が及ぼす風の影響も周囲の建築物と複合的に影響すると予測されるが、施主側は「社内の基準で風害調査を行う必要なし」の一点張りである。実際、被害が出てからでは遅いのだが・・・

 さらに周囲の建築物との調和を無視し、法規抵触寸前に設計された建設物はその存在自体が不快なものと感じられ、長期間に周辺住民の精神を蝕むことになるだろう。

4・ベランダが住宅地側を向いている!

 ベランダが住宅地側を向いていることにより、近隣住民にとっては多くの視線が注がれているような気分になる。夏場、うかつに窓も開けられない・・・さらにエアコン室外機の騒音問題も発生する。

 同じ建築主が初台に作ったマンションもベランダが住宅地側を向いているらしく、建設後は様々な問題が発生しているようだ。

 説明会を繰り返し、低層階の窓を小さくするなど軽微な変更はしたが、根本的な解決になっていない。ベランダを東西方向に振り分けると避難用のタラップも多く設置することになり、コストもかかることになるが、我々近隣住民に長期間与える影響を考慮してほしい。

5・ごみ集積場に囲いも設けない・・・

 このマンションのごみ保管場所は地下にあり、収集日になると北側正面入り口の脇にポリバケツを運び、収集車に集めてもらう計画である。建築主はこの場所を保管場所でなく集積場であるため建物で囲う必要はないと言う。まさに条例の死角をついたグレーゾーンの設計ではないでしょうか?

 説明会を繰り返し、垣根で囲う案が出ましたが、隠れることで逆にごみ捨てマナーが低下に繋がりかねない。鍵つきのテントで覆う案も出たが、臭いや衛生面に問題が残るのでは・・・

 集積場を建物で囲いたくないのは住居部分の容積率を減らしたくないからが本当の理由であろうが、説明会では巧妙に論点をずらしてはぐらかしましたよね・・・